おとなの妄想くらぶ

昭和から平成にかけての、
アンダーグラウンドメディアのお話を中心に綴っていきたいと思っています。
ときに、そこから逸脱することもあるかもしれませんが、
よろしくお願いいたします。

ダイアナ Diana_01

ビニ本「ダイアナ Diana」(ロマンブック社)1985年(昭和60年)10月頃発売

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単体のビニ本です。

まずは以下、オレンジ通信の紹介文の全文です。

“メイクも、コスチュームも、今の感覚で見ると古臭いですね。
陽光よりもネオンライトの方が似合う彼女でありました。”

かつて活躍したモデルのようですが、
たしかにかなりケバいですし、夜の匂いが濃厚です。

“くたびれた感のあるケバさ”があります。

スケパンに加えて、普通のパンツっぽく見えるエロ下着が何着が登場しますが、
エロ下着の股間部分はそれなりに透けています。

パンティストッキング直ばき、
また、ウエスト部分でブラとパンツがつながった、黒のエロ下着を着用したカットも登場します。

印刷上の消しは、細かくピンポイントで入ってはいますが、
マンコを隠す効果はほぼありません。

ただし、股間がピンボケだったり、
また、普通のパンツのため、マンコが透けて見えない写真も何枚かありました。

ちなみにバイブやオモチャの類いは登場しません。

ケバいモデルということもあり、セックス経験が豊富に思えますが、
マンコは小ぶりで、肉ビラのハミ出しも気にならない程度でした。

それから、表紙で見せている、睨んでいるような表情が、
中身でも続いていくのですが、少しだけ微笑んだ顔も数カットありました。

しかし、少なくとも私には魅力的には見えませんでした。

また、スレンダーな体型のため、
ケバい顔との相乗効果で、全体的な雰囲気が貧相に見えてしまいます。

まだ若くて、おそらく20代だとは思いますが、もっと年齢が上に見えます。

ところで、細かいところですが、左手の薬指に指輪をしています。

“人妻”という設定があったのか、本当の人妻なのかは不明ですが、
いずれにしても、くたびれた感のあるケバさのマイナスが大き過ぎて、

“人妻”要素はどうでもよくなります。

とはいえ、よく見ると、目とか鼻、口とかのバランスも良く、顔自体は美人さんです。

メイクとヘアスタイルを変えれば、かなり魅力的になると思いますから、
残念な気持ちが残りました。

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ゆきこ 誘惑・ドキドキ……_01

ビニ本「ゆきこ 誘惑・ドキドキ……」(若葉出版)1985年(昭和60年)06月頃発売

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今回、従来とはテイストが異なる“特殊な”ビニ本を取り上げましたので、
とくに後半、内容とは無関係な話を長々と書いてしまいました…。

興味がない方には長すぎてつまらないだろうと、最初にお断りしておきます…。

ただ、改めてビニ本とは何かを考えるいいきっかけにはなりました。

というわけで、
今回の、ビニ本「ゆきこ 誘惑・ドキドキ……」ですが、

表紙にモデル名と、カメラマンの名前までが明記されている、
写真集テイストなビニ本です。

単体のビニ本でして、内容はとてもおとなしく、

下着姿やバストトップも披露されていますが、
下半身に関しては、陰毛が少し見える程度です。

ところで、ここ最近は、ヘアヌードへの規制は強まっているようですが、
事実上、陰毛が解禁されていた1990年代には、

ヘアヌード写真集やヘアヌードグラビアが掲載された雑誌が、一般の書店に並んでいました。

その基準をあてはめると、
普通の書店に並んでいるヘアヌード写真集よりもおとなしいビニ本ということになります。

実際のところ、フルヌードでも股間が見えていないカットもありますし、
陰毛が確認できるカットは2点ほどしかないです。

マンコはもちろん見えていません。

1980年代のビニ本と、
1990年代のヘアヌード写真集を、時代を無視して比較することの無理はありますが、

ヘアヌード写真集よりも露出がおとなしめなビニ本ということで、

はたしてこれは、われわれが知っているビニ本なんだろうかと、
大げさにいえば、「ビニ本の定義」が揺らぐわけですが、

そのことに関して、オレンジ通信はかなり意識して書かれた紹介文でした。
以下、その一部です。

“~一応英知出版的写真集フウに決めておりますよね。
ビニ本らしさが僅かに残っているとすれば、
パンティ越しにかすかに覗く(でもホンのちょっぴりだけど……)ヘアのようなものぐらいか。
ビニ本版元さんの新展開、ボクは全然期待していません、念の為。”

また添えられている見出しの一部が以下です。

“~新展開のビニ本状況を飾った取次本的迷作だっ?点”

ちなみに、「?点」とは、点数を付ける意味がないということで、
股間がスミベタで真っ黒に塗りつぶされているビニ本に、よく付けられている点数でした。

これがボディプレスだと、

“サギ本”、“若葉出版の本は絶対買わないよーに”、とよりストレートになるわけです。

このブログのどこかの記事で触れましたが、
1980年代のビニ本を取り巻く状況は、“マンコが見えること至上主義”です。

ビニ本の最前線では、
いかにルックスが良い娘がマンコを晒すか…という局地戦が展開されています。


そんなときに、

『マンコや陰毛は見えてないけど、軽井沢のロッジ使って撮影してるし、
モデルの魅力を存分に引き出した仕上がりだし、従来のビニ本とは一線を画す良い出来。』

などというビニ本が出てきたところで、マニアの理解は得られません。

上記の『』内は、制作者側がどう考えていたのかを、私が勝手に憶測した内容ですが、
おそらくそれほど間違ってないと思います。

また、軽井沢というのも、表紙写真からの私の直感に加えて、
オレンジ通信でも、“ここは軽井沢でありましょうか。”と書かれていることもあり、
これも間違ってないと思います。

セールス的なことはわかりませんが、
せっかくの“新展開”も、ビニ本界隈で黙殺されてしまったこともあり、
奮わなかったのではないでしょうか。

さらにいうと、試み自体は新しかったのかもしれませんが、
モデルの質が、“従来のビニ本モデル”と同じで、魅力的には見えませんでした。

また仮に、ビニ本の土俵ではなく、いわゆる“取次本”の土俵で戦ったとしても、
セールス的な成功は難しかったのではないでしょうか…。

ところで、“取次本”というのは、書店で売られている本とか雑誌全般のことを指します。
一方、ビニ本は、専門書店で売られていたとしても、取次本ではありません。

一般的に、取次本は出版社から発行されたあと、“取次”を経由して全国書店の店頭に並びます。

それに対して、書店が取次を経由せずに出版社から直接仕入れる雑誌や本があります。

また、読者が出版社から直接購入するケース、
出版社と直接の定期購読などもこれにあたると思いますが、

それらは、取次を通していないということで“直販”と呼ばれ、
直販で扱われる本や雑誌は“直販本”と呼ばれます。

出版社側は、直販のほうが利益は大きいですが、
流通全体の割合でいうとほとんどが取次経由での配本です。

もちろん、出版社側にメリットもありまして、
全国流通網の維持や配送、また在庫を保管する倉庫を自社で抱えなくていいことなどです。

つまり、新しく印刷された本は、一部が出版社に納品されますが、
ほとんどは出版社を経由することなしに、印刷所から取次にわたるのが実態です。

全盛期のオレンジ通信や、写真時代は、20万部以上発行されていました。
それだけ膨大な部数を、
一時的にでも、出版社が自社で保管しなければならないとなると相当なコストです。

ただし、取次本として扱われるためには、
雑誌コードや書籍コードなどが必要で、このコードは取次から購入します。

現在はかなり安くなったと聞いていますが、当時はこのコードが高額でした。

裏本やビニ本と直接関係がない話を長々と書いてしまいましたが、

それには理由があります。

当時、エロ本ライターがいろいろなテーマについて話す座談会が、
ボディプレスの連載にありました。

そこで、“取次系エロ本”という言葉がよく出てきます。

“取次系エロ本”とは、いわゆる一般的に書店で売られているアダルト雑誌、
つまり、取次を経由して一般書店に並べられるアダルトの本や雑誌のことで、


たとえば「オレンジ通信」や「アップル通信」などのことを指しています。

ビニ本や裏本を掲載しているボディプレスだからこそ、
ビニ本や裏本と、一般書店で売られているアダルト雑誌との違いを明確にするために、
あえて持ち出してきたのが、“取次系エロ本”という表現でした。

つまり、流通形態で区別するしか、
ビニ本や裏本と、一般のアダルト雑誌との違いを表すことができなかったともいえます。

逆にいうと、そのことによって、ビニ本や裏本とは何かということの一部が見えてきます。
ちなみに、ビニ本や裏本は流通形態でいうと、“取次本”ではなくて“直販本”です。

つまり、強引に結論するなら、
ビニ本や裏本は、“直販のアダルト本”ということになります。

たとえば、

「中身が見えないようにビニールで包まれていて~」

「マンコや陰毛が見えているのもあるけど、消されてるものもあって~」

「アダルト専門書店に置かれてるけど、通販とか古本屋でも手に入れることができて~」


など、ビニ本や裏本の特徴的なことはいろいろあるにせよ、

普通の書店売りアダルト本やアダルト雑誌、つまり“取次系エロ本”との大きな違いを考えるうえで、
“直販”だったことは外せない特徴だと思っています。

ところで、私は20代のころ、大手書店で正社員として勤務していました。

その書店は1990年代から経営が苦しくなり、2000年代に、大手印刷所に経営統合されました。
現在はその傘下にあり、屋号は存続しています。

取次のお話は、
1990年代当時に書店で働いていた、私の経験や知識がベースになっているのですが、
現在は多少、また大きく状況が異なっているのかもしれません。

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陽だまり_01

ビニ本「陽だまり」(フォト・エッセイ)1985年(昭和60年)12月頃発売

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単体のビニ本です。

表紙にかなりケバいお姉さんが写っていますが、
このお姉さん以外にももうひとり別のお姉さんが登場します。

はじめの3分の2が別のお姉さん、
後の3分の1が、表紙のケバいお姉さんという構成です。

はじめに登場する別のお姉さんのほうが、
目がパッチリとしていて身体もムッチリ系で、魅力的だと思うのですが、

なぜ表紙に持ってこなかったのか疑問です。

ふたりとも、スケパンやパンスト直ばきで開脚していますが、
印刷上の消しが濃くて、マンコは見えません。

陰毛が少しだけ確認できる程度です。

ちなみに、マンコが見えないということもあり、オレンジ通信での評価は低かったです。

ふたりとも好みのタイプでないこともあり、私の評価も低いです。

モデルのビジュアルが好みならば、
たとえマンコが見えなくても、時間をかけて1ページ1ページじっくりと、
楽しみながら見ることができますが、

そうではないため、
たとえば、ピンボケ写真が多いとか、背後にあるカーテンやソファーの色がうるさいなど、

マイナスポイントばかり目に付いてしまいました。

というわけで、今回はあまり書くことがないのですが、

あえて、付け加えるとすると、

表紙のケバいお姉さんですが、
格安ソープとか、本番風俗にいそうな雰囲気が濃厚です。

お相手すると、それなりにエロくて楽しめるのかもしれませんが、
単体でポーズをとっている写真を、
あえて見たいとは思いませんでした。

ところで、ビニ本「陽だまり」には、発行人と発行所の住所は明記されていますが、
版元名の記載はありません。

オレンジ通信に、版元が“フォト・エッセイ”と書かれていたので、
記事でも、版元を“フォト・エッセイ”としています。

以前に取り上げました、同じフォト・エッセイ発行のビニ本で確認しましたところ、

発行人と発行所住所が同じでしたので、間違いないと思います。

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