
ビニ本「KINKY PUNK キンキー パンク」(桜桃書房)1986年(昭和61年)11月頃発売
カラミのビニ本です。
表紙の写真から判断するに、女が暴行される内容です。
SMチックな責めもあるように見えます。
表紙下部のカット、
乱暴に服をはぎ取られたモデルのお姉さんの歪んだ表情は、
けっこうエロチックです。
ただ、表紙と裏表紙を見るに、
普通の表情の正面顔はありませんでした。
また、
桜桃書房発行のビニ本なので、おそらく露出度は期待できません。
というわけで中身ですが、
最初のページがいきなり真っ黒に塗られています。
本を斜めにすると、
黒の下になにか印刷されているのが薄っすらと見えてきました。
写真があって、“外道”とか“空前絶後の変態地獄!”という文字もあります。
普通の編集ページ全体を、
濃いスミアミで覆ったデザイン処理ということでしょうか。
しかし、スミアミが濃すぎて、
文字はやっと見えますが、どんな写真なのかはよくわかりません。
こういうデザイン処理は必要ないのにと思いながら、
ページをめくるとやっと普通のビニ本らしい展開がはじまります。
ところどころに文字が書かれていて、
簡単なストーリーがあることがわかりました。
それによりますと、出演モデルは“野上裕里”という名前の短大生です。
休みのたびにライブハウスに行くほど音楽好きで、
とりわけ好きなのが「菊魔団」というハードロックバンドとのこと。
また、
「菊魔団」はグルーピーの娘たちを誘ってはマリファナで酔わして暴行するのだとか。
というわけで、
本作は“野上裕里”が「菊魔団」の餌食になった一部始終です。
廃墟のような場所で、菊魔団の3人に襲われて全裸にされます。
さらに両手を拘束されて嬲り者にされてしまうのですが、
その過程で気を失い、
目を覚ますと、深紅のレオタードを着て身体を拘束されている状態です。
その一場面が表紙のメインカットで、
深紅のレオタードはタテに引き裂かれています。
そのあとは、
生卵を全身に塗りたくられたり、ロウソクを垂らされたり、浣腸されたりします。
ところで「菊魔団」の男たちは途中から、
顔を白塗りして登場します。ロックバンドの「KISS」を意識したのでしょうか。
ただし、
KISSが白塗りの顔に各種模様を黒でペイントしているのに対して、
「菊魔団」は白塗りの顔に赤のペイントです。
そのため、歌舞伎のメイクみたいに見えました。
ところで露出度ですが、
股間には広範囲なスミベタが入っていてマンコも陰毛もアナルも見えません。
浣腸シーンは、
ケツの穴に注射器の先端をあててるだけでしょう。
セックスらしき場面もありますが、
布団のなかでおこなわれていて、疑似に違いありません。
全体的に、自販機本の延長みたいな内容です。
とはいえ、生卵塗りたくりは本物ですし、
モデルのヒップに垂らされているロウも本物でしょうから、
その点は評価できるかもしれません。
さて、オレンジ通信ですが、以下、紹介文の全文です。
“ 音楽好きの短大少女が、ロックバンドのメンバー三人に、
よってたかってワヤクチャされちまうというお話。
ドロドロヌチャヌチャジメジメの暗~い一冊でして、私ゃ苦手なんですわ。”
そして以下は、添えられていた見出しです。
“生卵をからだに塗りたくったりして、いや、気色ワル 7点”
ところで、最初のページ同様に、
最後のページも濃いスミアミで全面塗られていました。
やはり写真があり、
キャッチコピーみたいな文字も薄っすら見えます。
そのなかに、“JNMA 039”の文字とロゴマーク。
それで気づいたのですが、本作はおそらく過去に出たビニ本の再発です。
以前に、ビニ本「感じさせて」(桜桃書房)を取り上げたことがありますが、
その中身にも、“JNMA 039”の文字とロゴマークが登場します。
そのときいろいろ調べましたら、
“JNMA 039”は、大共出版(大共社)という版元でした。
つまり、本作「KINKY PUNK キンキー パンク」も、
「感じさせて」と同じく、元本の版元は大共出版です。
それから、これも以前に取り上げました、
ビニ本「セーラー パフューム Sailor Perfume」(桜桃書房)には、
後半のほうに2か所、“DAIKYO PETS GAL 81”なる英文の記述があり、
元本が大共出版(大共社)発行ではないのかと思わせます。
大共出版と桜桃書房の関係はわかりませんし、
大共出版のビニ本の版下かなにかを、
桜桃書房が買い取ったかどうかも不明ですが、いろいろと興味深いです。
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